こんにちは。衛藤です。
2月2日から9日までの1週間、ヨーロッパの室内遠征に行ってきました。
出場試合
2月5日 Beskydská laťka @トジネツ(チェコ)
2月7日 Hochsprung Gala @ヴァインハイム(ドイツ)
久しぶりの参戦だったので緊張しましたが、本場の景色や空気をしっかり感じ取ることができました。
今回は2試合とも走高跳オンリーの試合でした。

ヨーロッパでは、スケートリンクや体育館に仮設の競技エリアを設置し、走高跳や棒高跳など単種目での試合が頻繁に開催されています。

両試合とも街に愛される熱狂的な試合でした。
今回の遠征を時系列にまとめましたので、これからヨーロッパ室内遠征に出発するような気持ちで、ぜひご一読ください!
はじめに
(1) 試合へのエントリー
「どうしたらヨーロッパの試合に出られるの?」と聞かれることがあるのですが、日本の多くの試合のように、主催者にエントリー用紙を送り、出場料を振り込む形でエントリーできる試合もあります。
他の方法として、エージェント(公認競技者代理人)から大会主催者に出場交渉をしてもらうケースがあります。
今回は後者のエージェントを通じて、試合にエントリーさせていただきました。

(2) 航空券の予約
出場する試合が決まらないと出国日や目的地が決まらないので「目的地に到着できる便があるか、チケットが売り切れにならないか」ドキドキします。
参加標準記録など明確な基準がないので、連絡がストップすると不安な気持ちになります。
その分、連絡が入ったときの喜びは大きく、試合に向けてスイッチが入る瞬間でもあります。
今回は、Beskydská laťkaは12月中旬に、Hochsprung Galaは1月中旬に確定の連絡が入りました。
連絡を受けてすぐに、2/2(日)関西国際空港発、3日(月)プラハ空港着の便を予約しました。

1戦目: Beskydská laťka @トジネツ
(1) 会場までの移動
ロングフライトを経て、現地での遠征がスタートです。
初日はプラハに宿泊し、翌4日(火)に特急電車でトジネツに向かいました。

4時間をかけてトジネツ駅に到着すると、大会の送迎担当者が迎えてくださいました。

駅からホテルまで距離があり、大きな荷物もあったので本当に助かりました。

ホテルは、大会から2泊分を提供いただきました。
綺麗なリゾートホテルで快適に過ごすことができました。

(2) 前日練習
大会期間中、ホテルは大会の事務局になるため、ロビーにインフォメーションボードが設置されます。

競技場の前日使用は16時から18時半、15時45分に送迎バスが出発するので、乗車し会場に向かいました。

会場となるWerk Arenaは普段はアイススケートリンクとして使用されています。

中に入ると、スケートリンクがプラスチック製のカバーに覆われ、その上に走高跳のピットが設置されていました。

助走路は木で10cmほど底上げされており、その上にゴムマットが設置されていました。
ゴムマットは、たたみ1畳ぐらいの大きさで、踏切周辺はゴムマットがズレないようネジ止めされていました。

ストレッチや動きづくりをしながら、地面の反発を確かめました。
体育館のように跳ねる(地面がたわむ)のかなと思いましたが、たわみは少なく、陸上競技場と体育館の間ぐらいの反発を感じました。

助走の距離は、足長で横9-20足・縦90足と、選手によっては全助走が取れるか取れないかぐらいの距離でした。

ウエイトトレーニング場も使用可能で、前日の刺激として利用している選手もいました。
入念に助走練習をしている選手、ジョギングとストレッチだけの選手など様々でしたが、ほとんどの選手が1時間ぐらいで練習を終え、送迎バスでホテルに戻りました。
(3) 試合
走高跳オンリーの試合では、選手が跳ぶときの音楽を選手自身が指定する試合があり、大会事務局に自身の曲を伝えました。
会場に到着すると女子の部が開催されており、進行を見ながら後方の空きスペースでウォーミングアップを行いました。

バンドの生演奏が行われる中、助走練習や練習跳躍を行い、踏切の感覚を調整していきました。

練習跳躍が終わると、光と音の演出による選手紹介が行われました。

試合中は、アリーナ中央にある大型ビジョンで、跳躍のリプレイや順位表が表示されていました。
跳躍フォームを確認したり、跳ぶ順番を把握するのに助かりました。

試合内容については割愛します。
4位か(表彰台に乗れないのか…)と落ち込んでいましたが、6位までが表彰の対象で、写真撮影で表彰台に乗れたのは嬉しかったです。

(4) 試合後
試合後はホテルの会場でスモールパーティーが準備されており選手やコーチと交流を行いました。

2戦目:Hochsprung Gala @ヴァインハイム
(1) 会場までの移動
トジネツの大会送迎車でカトヴィツェ空港まで送っていただき、フランクフルト空港へ飛び立ちました。

フランクフルト空港の到着ロビーで、ヴァインハイムの大会関係者が迎えてくださいました。
ヴァインハイムまでは車で1時間。トジネツからはトータル7時間の旅でした。

中世のヨーロッパを感じる街並みとホテルで、トルコの選手と同部屋でした。
(2) 試合会場の様子
ホテルから試合会場まで1kmだったので(身体をほぐすのも兼ねて)ジョギングで向かいました。
会場のTSG Weinheim Halle は地下に温水プールを併設する体育館です。

体育館には、競技スペースを取り囲むようにたくさんの椅子が並べられていました。

助走路は、床に直接ゴムマットが敷かれており、中助走ぐらいのサイズ感(足長80足)でした。

地面の反発は日本で慣れ親しんできた体育館と同じような感覚でした。
(3) 試合
18:00に会場入りしましたが、体育館の外は長蛇の列になっていました。
客席が埋まっていく様子も圧巻でしたが、体育館のステージが立食パーティーの会場になっていることに驚きました。

家族や友だち、カップルなど、金曜の夜の食事を楽しんでいるような雰囲気でした。

地元の整体院がトレーナーステーションを開設していたり、

地元スポーツクラブの子供たちもオープニングセレモニーのお手伝いや観戦を楽しんでいました。

オープニングセレモニーでは、20歳以下の女子の部(スポーツクラブの選手 4名)、女子トップの部、男子トップの部、全員が選手紹介を受けました。

女子トップの部の進行を見ながら、地下の部屋(奥行12m)でウォーミングアップを行いました。

助走練習や練習跳躍では、左踏切の選手の様子が全く見えないので、主審がバーの前に立って交通整理をしてくれました。

試合では、選手が指定した音楽と観客の手拍子の中で気持ちよく跳ぶことができました。
また、3回目で追い込まれると全員が立って手拍子を送ってくれました。
競技エリアにはマイクを持ったMCがいて、実況をしたり、応援の方法を説明したり、選手と絡んだり(笑)、競技というよりショーをやっているような感覚になりました。

いつもよりリアクションが大きくなったり観客の応援に応えることで、いつも以上に力が発揮できたように感じました。
初戦を上回る2m23cmで2位に入ることができました。
(4) 試合後、帰国
試合後に会場で立食パーティーが行われましたが、表彰が終わったのが23:50だったので少しだけ食べて送迎バスでホテルに戻りました。
部屋に帰り、同部屋のトルコの選手と試合の感想や今後の試合などを話しましたが、気がついたら2人とも寝落ちしていました。

8日(土)正午に大会送迎車でフランクフルト空港まで送っていただき、9日(日)夕方に関西国際空港に帰ってきました。

あっという間の1週間でした。
おわりに
会場内で立食パーティーが行われていたり、平日の夜にも関わらず観客席が満席だったり、光と音の演出など、まだまだ知らない「走り高跳びの世界」が刺激的でした。

1戦目も2戦目も会場を見たときに「この雰囲気の中で跳びたいな」と思いました。
多くの人に「この雰囲気の中で跳びたいな」「面白そうだな」と思ってもらえるシーンを創れるよう、競技で得た経験を様々な活動に活かしていきたいと思います。